如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

購入するならマンションよりも戸建てを勧めるワケ

現役時代は賃貸で、リタイアを契機に戸建て購入がオススメ

 

              f:id:kisaragisatsuki:20200319212940j:plain

 私が購読している定期購読しているメールマガジンがいくつかあるのだが、そのなかのひとつに「まんしょんオタクのマンションこぼれ話」というメルマガがある。

 

 まぐまぐの紹介文によれば「マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします」とあり、すでに発行本数は1300を超えて殿堂入り、まぐまぐ大賞2017も受賞している。

 

 平日は毎日届くので多忙な際には読み飛ばすこともあるのだが、内容が充実しているのでほぼ毎号読んでいる。

 紹介文にも書いたが、内容はマンションの運営に関わる管理組合の抱える問題や住民間のトラブルなどの解決事例を紹介するといったもので、具体例が豊富なので「戸建て派」の私も参考にはしていた。

 

 今回このメルマガを取り上げるのは、「やっぱりマンションは戸建てよりも騒音リスクが高い」と改めて感じさせる事例が紹介されていたからだ。

 

 該当のメルマガは19日に発行された1303号で、タイトルは「リノベ物件を子育て世代が購入するときに気を付けること」。

 内容を簡単に要約すると、3兄弟の子育て中で分譲マンションにする家族が、下階の住人から騒音の苦情が入るので、いろいろと配慮をしたが「何をやっても、やらなくても、下から突き上げられるドンドンドンと怒りの抗議音が響き、その度、心が萎えます」とのこと。

 その後、下階の住人からは「(騒音で失った)家内の健康を返してくれ」という郵便物まで届いて、ついに引っ越し(売却?)を決意するというもの。

 

 メルマガの著者は色々と原因を分析するものの、最終的に「ご自身の暮らしを守るために転居された方がいいと思います」と結論付けている。

 

 いつものメルマガの内容には、「マンションにはそういう解決方法もあるのか」と勉強になることも多いのだが、今回ばかりは読後に「やはり騒音問題を考えると購入するならマンションよりも戸建てが正解」と改めて認識させられた。

 

 私は普通のマンション以外にタワマンの上層階にも住んだ経験がある。合計するとこれまで10カ所近い集合住宅に住んできたが、このうち約半数で上下階もしくは左右住戸との騒音トラブルに巻き込まれている。当然ながら被害者の場合もあれば、加害者扱いされたこともあるので、今回の具体例は身近に感じた。

 

 以下は宅建士の資格を持つ私の持論でもあるのだが「住宅を購入するならマンションよりも戸建て」とかなり以前から主張している。

 今回の騒音問題もそうだが、マンションは自分一人では解決できない問題が戸建てよりも圧倒的に多いのだ。特に騒音は上下に限らず、左右の壁が薄い場合にも起きる。

 外部からの音への許容度は人によって異なるので、「気になる気にならない」は水掛け論になるケースが多いはずだ。

 

 他にも、マンションの場合、管理組合への参加義務があり、理事が当番制で回ってくる。運が悪ければ大規模修繕やマンション内の大きなトラブルに巻き込まれる可能性もある。問題解決を巡って理事会が揉め、これが住民全体を巻き込んで対立に発展、収拾がつかなくなることも珍しくない。

 

 また修繕については、管理組合の決定事項には従わざるを得ず、必要と決まれば一時金の徴収も免れない。戸建てと異なり、自分の都合で修繕の時期や費用を調整することはできないのだ。

 

 さらに言えば、特にタワマンの場合、地震や水害などで被災した際に、マンションの電源供給が停止、エレベーターはもちろん給排水もストップするためトイレも風呂も利用できなくなる。特に上層階に住んでいる場合は、徒歩で荷物を持って階段で移動したり、トイレの都度一階に降りるのでは事実上生活はできないだろう(簡易トイレは一時的な対応策でしかない)。

 

                   f:id:kisaragisatsuki:20200319215153p:plain

 これが戸建ての場合は、少なくとも「上下」の騒音問題は発生しない。また私の住む地域では少子高齢化もあって、住民がメリット・デメリットを討論した結果「自治会は不要」との結論に至り、現在は解散、活動していない。同様の動きは周辺の戸建て地域でもあるとも聞いている。

 「被災時にはどうするのか」というのが最大の論点だったが、たまたま住民の中に20年以上消防団員を勤めた人がいて、「防災の基本は、自助7割、共助2割、公助1割」と聞かされ、各世帯が自主的に防災や被災時の対応をすることで決着した。

 

 ここで誤解のないように確認しておくが、私はマンションに「住む」ことを否定しているのではない。これまで述べたようなデメリットの一方で、総じて駅に近い、商業施設が充実、防犯上有利などマンションのメリットも十分承知している。

 つまり私が言いたいのはマンションに住みたいなら「購入」ではなく「賃貸」にすればよいということなのである。実際に私が過去に住んだマンションもすべて賃貸物件だ。

 

 タワマンの高層階に憧れる気持ちは理解できるし、実際に私も借りて住んだが、その眺望に満足しているのもせいぜい数カ月。変わらない景色はいずれ感動しなくなる。しかも洗濯物は干せないし、エレベーターの待ち時間などでストレスを感じることが多くなった。

 

 上下階との騒音も地震などの被災も、賃貸ならばさっさと引っ越せばいいだけの話。管理組合への参加義務もないので面倒な人間関係も基本的にかかわらずに済む。加えて、いろいろな街に住むことで地域への理解が深まるという副産物もある。

 

 雑誌などの特集では、よく「どっちが有利? 賃貸と購入」といった特集が掲載されるが、私の見解は「若いうちは多少不便でも賃貸で貯蓄に励み、現役引退が見えてきて、家族構成やライフスタイルが固まったら築10年ぐらいの戸建てを購入するというものだ。

 

 幸いなことに、不動産経済研究所によれば、都区部の分譲マンション平均価格が1月には1億円を超えるなど、マンション価格は高騰がつづいているが、郊外の戸建ての価格はほぼ横ばいと言っていい状態。今後の空き家率の向上を考えれば、中古の戸建てなら「相当安い」価格で購入できるようになる可能性が高い。

 

 マンション購入を勧める向きが必ず口にするのは「資産価値の落ちない物件」というキーワードなのだが、相対的に資産価値が落ちにくいとされる都区部の1億円を超える物件を無理なく購入できる層が、どれほどいるのだろうか。購入希望層の現実を見ずに不動産会社にすり寄った発言としか思えない。

 

 戸建てでも修繕費用を考慮する必要は当然あるが、私の経験ではごく普通の戸建てだが15年おきに屋根と外壁の塗装で費用は100万円程度で済んでいる。月額換算で5555円ほどだ。

 マンションのような毎月数万円単位の管理費、修繕積立金はかからない。駐車場も家の前にあって便利だし駐車場代も不要だ。

 

 騒音などの人間関係の問題に加えて、おカネという側面からも「戸建ての優位性」は明らかだと思っている。